良寛禅師の『奇話』のなかに、「郷言、稲ノ豊熟スルヲボナルト云。ボナルハ吼ナルト云事ナルベシ。師是ヲ聞テ、稲ノ吼ヨルヲ聞カントテ、終夜田間ニ彷徨セラレシト」という一文がある。
良寛禅師は稲の吼(ほ)える声が聞きたいと、ひと晩中田圃の畦道を彷徨ったというのだ。
私もこの奇話に興味をもち、両耳に神経を集中させながら秋の田圃を歩いたものだが、未だ嘗て耳にしたことはない。
我が家は、今の場所に移り住んで400年程続く稲作農家である。
築160余年の古家の2階に私の寝室があり、毎朝、起床の度に、麗しく聳える三角山を真正面に眺めながら徐に朝の身支度をする。
我が家の初代は、その景色を眺めながら余生を送りたいと、孫の一人を伴ってこの場所に隠居したと云われている。
ひと昔前の稲作は
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