史上最多32回の優勝を誇る元横綱大鵬の納谷幸喜さんが、72年の人生の幕を閉じた。
「巨人、大鵬、卵焼き」と当時の流行語として一世を風靡したことは周知のとおりだろう。
当時小学生だった私も、アニメか相撲かで祖父とのチャンネル争いの果てに、「大鵬だけ見せろ」との祖父の頼みに、泣く泣く譲って以来、大鵬のファンになった一人だが、同じような経験をお持ちの方も多いのではないだろうか。
そんなことから、次第に祖父からの指示を待つまでもなく、
自分からチャンネルを回したように記憶している。
当時の大鵬の強さは群を抜いていて、周りからは天才だと評されていた。
しかしながら当人は、「才能は皆同じように持っている、あとは如何に努力するかだ」と話していた。
16歳の若さで二所ノ関部屋に入門し、厳しい稽古や、人知れず隠れた努力があったからこその栄光だと話していたが、幼少期からの苦労を乗り超え、稀代の英雄となった男のひと言ひと言には、重みと説得力があふれていた。
心よりお悔やみ申し上げます。